誰のため?

2014年06月17日

ツバメはすくすく、どころかガンガン育っていきます。

なんとヒナは四羽であることが判明。朝から食欲旺盛です。

必然巣の外に落とすフンも大量になってきました。ほぼ小山の状態です。さすがに見栄えが悪い。

そこで夜は神経質な親を刺激しないためにできなかったフンの受け皿設置のため、朝からスコップと箒で作業をしました。

ところが、近づいてみるとフン山だけではなくヒナが食べられなかった大きなアブの死骸まであり、それにアリがわんさかたかっているではないですか。

この食物連鎖の具体例を前に舌打ちしつつ、死骸を片付け、アリをけちらし、フン山を撤去し受け皿を据え付けていると。

戻ってきました、ツバメのご夫婦が。巣の下でスコップ片手にマスクをつけた不審者がいるのを見るや空中でホバリングしながら聞いたこともないような声で鋭い警告音を発します。命懸けで怒っていらっしゃる。

はいはい、今終わりますから、と誰に言っているのかよくわからないセリフを吐きながらフンの受け皿を固定していると、背中に不吉な落下物の感触が。

今度はお子様からのフン爆弾攻撃が見事に命中。ギャー。

「おまえらな~、だれのためにやってると思っとんねん、この恩知らず!」

と、それでも怖がらせないように小声で毒づきながら作業を終えたフンまみれの特殊工作員は半泣きで部屋に撤退したのでした。

そこでふと思ったのですが、ツバメは別にフンの受け皿などなくても一向に構わないわけです。

すべてこちらの自己満足。ツバメの保護に関与しているつもりになっているだけです。「だれのため」どころか「手前のため」にやっているわけです。

すまん、ツバメ。お邪魔しました。

でも、このおせっかい、結構沸き立つようないい気分になるものなのです。勘ですが人にとって生き物に関わるというのは何か大事な要素があるものなのでしょう。

ISSのように、宇宙空間に長期間滞在する際も、植物(イネとか麦とからしいですが)の栽培実験室には特に用がなくても宇宙飛行士たちの出入りが絶えないらしいです。我々にはヒト以外の生命が精神的に必要なようです。生態系とか自然の保護とかそういうもっともらしいお題目のためではなく、「私」の心が人のそれであるために。

そういえば、英語の授業の始まりに「ああ英語いやや~きらいや~」と聞こえるように言う中三生がいて、「アホな表出のしかたするなあ、お前のために授業しとるんやないかい」と心の中でウンザリしていたのですが、そもそも自分のために授業しているのだった。生徒の成績が上がれば嬉しいのは自分なのだ。

さて、あいつの次の補習いつにしよう?

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